Envisioning a Sustainable World

イギリス・エディンバラ大学院留学(2016年秋~)の日常を綴ります。

期末試験1日目

1学期の総決算となる期末試験がやってきた。期末試験は土日を挟んで3日間続き、今晩そのうちの1日目を終えてきたので、感想を記そうと思う。

試験のシステム面で、日本の大学での試験と比べて興味深いと感じる2点があった。

1.採点時の匿名性が徹底されている

こちらの試験では、答案用紙に名前を書かない。ではどうやって成績をつけるのかと言うと、あらかじめ各人に試験専用の番号(B123456など)が割り振られており、この番号を答案用紙に書くことになる。本物の名前も答案用紙の一部に書かされるのだが、個人情報保護シールのようなもので保護して外からわからないようにしているため、採点者はどの答案がどの人のものかという判定ができない仕組みになっている。

ここまで徹底して情実を排除しているのは興味深い。一方で、何が大学をそこまで匿名性にこだわらせているのかは良くわからない。過去に不正があった対策なのか、それとも伝統的なシステムなのか・・・。初めてこちらの試験を受ける僕は、いきなり答案用紙にペトペトシールを貼るよう指示されて面食らった。周りの学生の手慣れた行動をチラ診しながらやったが、あの慣れ様から推測すると、少なくともイギリスでは一般的なシステムなのか。(クラスメートの大半はイギリス出身)

2.ほとんどの科目の過去問が大学のサイトにアップされている

日本の大学の試験の過去問は、先生によってアップしていたりしていなかったりまちまちだと思う(少なくとも僕の大学はそうだった)。なので日本の学生が試験勉強をしようと思ったら、有志学生が集めた過去問を使って勉強したり、それが無ければ過去の授業のスライドとかノートを勉強したりすることが試験勉強の中心になるのではないかと思う。しかし、エディンバラ大学は大学の授業も大学院の授業も全て、原則として過去問が大学の公式サイトにアップされている。その上、授業によっては模範解答も配布される場合がある。なので学生が「何が出るかわからない」という状態で実力を測るのではなく、「こういう問題が出る」と明らかにされた状態で理解の程度を測ることに重きが置かれていると言えるだろう。

さて今回の試験は、5問中2問に回答するエッセイ形式の試験で、2時間で2問の論述を行うものだった。2時間の間、手が痙攣するくらいまでゴリゴリ書くことになる。その場でバーッと書くライティング力が乏しい僕にとっては大変厳しいものだ。今の僕では、1時間で書ける最大の文章量はB5ノート4ページくらいであり、ネイティブなら倍くらい書けるだろうが、これでは絶対的な議論の分量が不足してしまう(言いたいことの半分くらいしか言えない状態で終わる)ので、高い得点を求めることはとてもできそうにない。なので過去問を基に素早く書きあげる練習するしか方法はないのだが・・・

今回の試験では、重点的に対策をした3問は外れて、ちょろっと対策した2問が的中する結果となった。もっと対策をしておけば良かったと後悔することも先立たず、1問は何とか書き上げられたものの、もう1問はかなり議論の内容が薄い状態でタイムアップとなってしまった。今更仕方ないが、やはりもっと過去問を解きまくる訓練を積んでおいた方が良かったことは間違いない。

さて、明後日に控える試験に向けて再び勉強しなければならない。エディンバラの美しいイルミネーションを横目に見つつ、僕は今日も机に向かうのであった。

 

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期末試験に向けた勉強

1学期の授業も全て終わり、期末試験に向けた勉強期間となった。

学生は大体図書館で勉強しているようだ。1人で勉強している人が大半のようだが、グループで勉強している人もかなり多い。図書館は朝9時に行っても自習スペースの座席がすべて埋まっているような盛況ぶりで、席を取り損ねた学生のために、近隣の教室も試験勉強用に解放されている。着席している学生たちは大体勉強しているが、寝ている人や明らかにネットサーフィンしかしていない人もいる。

僕はといえば、夜型の人間なので朝早起きして席取りするのは辛いし、またグループで勉強するということが出来ない&必要ない人間なので、激混みの図書館は敬遠し、近隣の教室に出かけてゴリゴリやることとしている。もともと大学構内のフラットを借りて住んでいることもあり、徒歩30秒で自習スペースに着席できる。起床から着席までわずか5分、華胥の国から勉学の杜へ颯爽とシフトするガリ勉学生は、大学生2万人の中でも僕一人であろう・・・

と得意気になったが、現実は厳しい。試験勉強は3科目しかないとはいえ、2時間で2本のエッセイを英語で書くというのは、想像以上に厳しい仕事である。日本語なら3日勉強すれば単位が来る答案を書ける自信があるのだが、奇しくも相手は英語・ボールペン記述という反り立つ壁である。未だぶっつけで完璧な英語を書くことが出来ないので、せめて重要語句の定義くらいは暗記するしかないが、20代も後半になった脳に英文の暗記は多大なる負担であり、3時間くらい丸暗記の作業をやると疲弊してしまう。

というわけで、ひたすら最近は、

  • 過去問をチェックして出題傾向から出そうな範囲を絞る
  • 授業のスライドとノートを復習して、重要語句を暗記する
  • 構成を練り、キーワードと展開を暗記する
  • 答案を書く練習をする

というプロセスを繰り返している。果たしてこのセオリーが通用するのかどうかは、試験が終わって成績が返ってこないとわからないのだが・・・

このプロセスを消化する疲労感と、落ちるのではないかというプレッシャーに追い詰められながらの勉強というのは、これまでに味わった種類の精神的負担とは違う種類の負担で、なかなかに辛いものがある。

試験勉強は3週間前に始めたのだが、1週間目があまりに辛く、どうにもモチベーションが保てないので、思い切って2週間目の週末に1日だけエディンバラ近郊に日帰り旅行に行ってきた。3週目の今週はラストスパートの週であり、主に気分を入れ替えて復習をこなしているところである。

早く試験が終わらないかとそればかり考えている。試験が終わったら今度は2学期の授業や修士論文のテーマ決めもあり試練が続くものの、久々の休暇を味わいたいと思う。

McEwan's Export

イギリスといえばビール。イギリスのビールの中で最も一般的とされるのはエールというタイプのビールだ。(とクラスメートのイギリス人が言っていた。)

当地スコットランドにおいても、街中にビールを出すパブ(居酒屋)が存在し、そこで生ビールや瓶ビールを飲める。スーパーや食料品店においても、常時10~20種類のビールが陳列されている。

僕の最近の趣味は、近所のTESCOやLidlというスーパーでビールを買って、勉強が終わった夜中に、蘊蓄が掲載されたメーカーのHPを読みながら、喉を潤すことである。ということで今日はMcEwan's Exportというビールを試す。

当地のビールは、円高の影響もあり、スーパーで買うとかなり安い印象がある。安いものだと500mL×4缶セットで4ポンド以下だ。日本の350mLの缶ビールに換算すると、1本100円くらいとなる。(1ポンド=140円と仮定)

  • タイプ:エール
  • アルコール度数:4.5%
  • 容量:500ML
  • 値段:1ポンド
  • 色:銅色
  • 香り:麦
  • 味:やや甘口
  • 個人的評価:4点(5点満点)
  • 補足:メーカーいわく「スコットランドで一番売れているプレミアムエール」らしい。本当かどうか知らないが、甘すぎず苦すぎず、飲み飽きないバランスのとれた美味しさだ。

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プレゼンとエッセイ

僕は今学期、3コマ/週の授業を取っている。1つは食料安全保障の評価方法、1つは持続可能な開発の基礎、1つは土壌保護に関する授業だ。

 

今日は、1学期の締めくくりとなるプレゼンの実施と、先月提出したエッセイの返却があった。

 

今日のプレゼンは、このうち食料安全保障の授業に関するもので、成績の40%を占めるエッセイの主な内容について、ポスターを作成してプレゼンするというものだった。エッセイのテーマは「ある途上国の食料安全保障と脆弱性の状況を包括的に議論せよ」というものだ。ちなみにプレゼンの内容にも10%の成績が与えられる。僕にはカンボジアが割り当てられた。

プレゼンは、名簿順に実施するのか何なのか理由は不明だが、発表の順番が最後になってしまった。まあ最後にやるプレゼンというのは、世界どこでも同じ宿命を抱えているようで、先に上手な生徒が発表してハードルが上がる一方で、聴衆の集中力は衰え関心も薄くなるという二重負荷(Double burden)を課されている。今回のエッセイ・プレゼンの作成は、期末試験のための時間を優先してしまったので、最低限の労力しかかけなかったことから、自分でも内容が優れているとは言い難い。そもそも英語もろくに喋れない上に、内容が面白くなければもう勝負にならないだろう。まさに「負けるとわかっていても戦わなければならない時がある」を体現する姿で臨むこととなった。

結果、プレゼン自体は最低限レベルでこなしたとは思うものの、生徒からの質問の意味がわからず「こいつ質問の内容理解してねえしwww」みたいな失笑を他の生徒から頂戴するとともに、成績のマークを行っている先生のつまらなそうな表情が(逆に)鮮やかであった。必定とはいえ、達成感よりも疲労感に包まれたプレゼンであり、これまでの経験でプレゼンは得意だと思い込んできた僕としては、留学の先行きに対する希望をマッシュポテトにされたような経験だった。あの失笑と表情を僕は忘れないだろう・・・。一方で一部のクラスメートからは「最後はやっぱ大変だよなwww」とねぎらってもらうなどしたし、「俺は今日の午前7時に完成させたんだぜ」と豪語する徹夜明けのクラスメートもいたし、僕よりもさらに酷いプレゼンをやり果せた生徒もいた。もちろんプレゼンの技術に優れている生徒も多く、僕はクラスメートの能力がよく分かっていなかったのだが、かなり高い水準にあるように思い、この面でも2学期のグループワークで害虫扱いされる予感が頭をよぎり不安になった。結論としては、これまでとは異なる次元で勉強になったプレゼンだったということだ。

 

さて一方、エッセイの返却もあった。このエッセイは、持続可能な開発の基礎に関するものだ。複数のテーマが与えられ、成績の50%を占める2000字のエッセイを書く。僕が選んだテーマは「生物多様性オフセットは持続可能な開発に貢献するか?」というものだ。(日本語で書くと謎だが、Discuss whether or under what conditions biodiversity offset can contribute to sustainable development? Use several principes of sustainable development. というテーマだったと記憶している。)

このエッセイが出る授業は選択授業なのだが、この授業を受けられただけでも、留学に来た甲斐があったと断言できる、大変優れた授業だ。授業は2時間のレクチャーと1時間のディスカッションに分かれている。毎回、持続可能な開発に関する原則のうち、異なる原則が与えられ、それに関して議論しながら理解を深めていくという形式だ。原則の中には、例えば、汚染者負担原則(Polluter Pays Principle)や、予防原則(Precautionary Principle)といったものが含まれている。

この授業で初めて、僕は新しい授業形式、つまり「リーディング→考える→レクチャー→考える→ディスカッション→考える→復習」という、自分なりに考えを深めることが最大の目的である授業形式を知った。具体的に言うと、

  1. 授業の予習として(大量の)リーディングが与えられる
  2. リーディングの内容を踏まえ、ディスカッションのテーマとなっている宿題(例えば、地域コミュニティは持続可能な開発に貢献するか?)に回答する
  3. この宿題を通じて自分なりに仮説を立てる
  4. レクチャーとディスカッションを通し、自分の仮説を検証する
  5. 最終的に自分なりの結論を出す

という形式だ。レクチャーでは教授と学生の双方向性が重視されるものの、あくまで教授は学生の理解を積極的に手助けするという立場である。

実に面白い。何より内容が毎回面白い。

この授業以外の2つの授業は、日本の講義と変わらない一方通行である上、授業の構成が整っておらず、何を伝えたいのかよくわからない奇天烈なものなのだ(少なくとも僕にとっては・・・これはこれで問題だが)。なのでなおさら、一般的に「イギリスの授業は~~」と形容される授業を知られたという意味でも、本当に受講してよかったと思っている。

ということで話はずれたが、最も楽しい授業のエッセイだ。その分気合が入る。色々な先行議論を調べて自分なりに結論をまとめる過程は、苦しいながらも達成感があった。結局、「生物多様性オフセットが持続可能な開発に貢献するためには4つの必要条件を満たす必要がある」という結論に至り、そういう条件を満たすようなケーススタディとして、教授が知らなさそうなマイナーな事例を引っ張りだして議論を補強する、という構成にしたと記憶している。最初、字数制限が「2000語」と聞いた瞬間、(結婚式の余興ムービーさながら)極寒の滝つぼに放り込まれた気分になったが、案外2000語でまとめようと思うと議論をかなり圧縮しなければならず、最後は仕事をしていた頃に戻った感覚で、文章を凝縮する作業をやっていたように思う。

そしてそのエッセイの採点が今日帰ってきたところ、予想していたよりもはるかに良い成績(A)を取ることができたことがわかった。成績を見た瞬間、驚嘆のあまり目から椎茸が生えたかとおもった。とてもAをとれるレベルではないだろうと思っていたからだ。ところどころ文法が破滅しており「英語でおk」のように教授からコメントされた部分もあったが、最後には「なかなか良いエッセイじゃん。いい線いってるから文法のミスには目をつぶってくれるわ」とコメントをしてもらえた。

今日、たった数か月ではあるが、勉強を続けてきてよかったと心から思った。

 

さて、今学期の残りのイベントは期末試験のみだ。これは本当にプレッシャーが酷いが、勉強するしか対策方法はないので、受験生に戻った気分でひたすら過去問にアタックしている。想像するだけで苦しくなるような日々がしばらく続きそうだが、今日を思い出してやる気を出すことにする。ではまた。

はじめに

この日記は、2016年秋からイギリスに大学院留学をしている人が、せっかく留学しているのだから記録をしようと思い立ち、日常生活を綴っているものです。

勉強以外のネタとしては、当地の食(ビールを含む)に関するレビューを掲載する予定です。不定期更新ですので、気ままにご覧ください。