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Envisioning a Sustainable World

イギリス・エディンバラ大学院留学(2016年秋~)の日常を綴ります。

プレゼンとエッセイ

僕は今学期、3コマ/週の授業を取っている。1つは食料安全保障の評価方法、1つは持続可能な開発の基礎、1つは土壌保護に関する授業だ。

 

今日は、1学期の締めくくりとなるプレゼンの実施と、先月提出したエッセイの返却があった。

 

今日のプレゼンは、このうち食料安全保障の授業に関するもので、成績の40%を占めるエッセイの主な内容について、ポスターを作成してプレゼンするというものだった。エッセイのテーマは「ある途上国の食料安全保障と脆弱性の状況を包括的に議論せよ」というものだ。ちなみにプレゼンの内容にも10%の成績が与えられる。僕にはカンボジアが割り当てられた。

プレゼンは、名簿順に実施するのか何なのか理由は不明だが、発表の順番が最後になってしまった。まあ最後にやるプレゼンというのは、世界どこでも同じ宿命を抱えているようで、先に上手な生徒が発表してハードルが上がる一方で、聴衆の集中力は衰え関心も薄くなるという二重負荷(Double burden)を課されている。今回のエッセイ・プレゼンの作成は、期末試験のための時間を優先してしまったので、最低限の労力しかかけなかったことから、自分でも内容が優れているとは言い難い。そもそも英語もろくに喋れない上に、内容が面白くなければもう勝負にならないだろう。まさに「負けるとわかっていても戦わなければならない時がある」を体現する姿で臨むこととなった。

結果、プレゼン自体は最低限レベルでこなしたとは思うものの、生徒からの質問の意味がわからず「こいつ質問の内容理解してねえしwww」みたいな失笑を他の生徒から頂戴するとともに、成績のマークを行っている先生のつまらなそうな表情が(逆に)鮮やかであった。必定とはいえ、達成感よりも疲労感に包まれたプレゼンであり、これまでの経験でプレゼンは得意だと思い込んできた僕としては、留学の先行きに対する希望をマッシュポテトにされたような経験だった。あの失笑と表情を僕は忘れないだろう・・・。一方で一部のクラスメートからは「最後はやっぱ大変だよなwww」とねぎらってもらうなどしたし、「俺は今日の午前7時に完成させたんだぜ」と豪語する徹夜明けのクラスメートもいたし、僕よりもさらに酷いプレゼンをやり果せた生徒もいた。もちろんプレゼンの技術に優れている生徒も多く、僕はクラスメートの能力がよく分かっていなかったのだが、かなり高い水準にあるように思い、この面でも2学期のグループワークで害虫扱いされる予感が頭をよぎり不安になった。結論としては、これまでとは異なる次元で勉強になったプレゼンだったということだ。

 

さて一方、エッセイの返却もあった。このエッセイは、持続可能な開発の基礎に関するものだ。複数のテーマが与えられ、成績の50%を占める2000字のエッセイを書く。僕が選んだテーマは「生物多様性オフセットは持続可能な開発に貢献するか?」というものだ。(日本語で書くと謎だが、Discuss whether or under what conditions biodiversity offset can contribute to sustainable development? Use several principes of sustainable development. というテーマだったと記憶している。)

このエッセイが出る授業は選択授業なのだが、この授業を受けられただけでも、留学に来た甲斐があったと断言できる、大変優れた授業だ。授業は2時間のレクチャーと1時間のディスカッションに分かれている。毎回、持続可能な開発に関する原則のうち、異なる原則が与えられ、それに関して議論しながら理解を深めていくという形式だ。原則の中には、例えば、汚染者負担原則(Polluter Pays Principle)や、予防原則(Precautionary Principle)といったものが含まれている。

この授業で初めて、僕は新しい授業形式、つまり「リーディング→考える→レクチャー→考える→ディスカッション→考える→復習」という、自分なりに考えを深めることが最大の目的である授業形式を知った。具体的に言うと、

  1. 授業の予習として(大量の)リーディングが与えられる
  2. リーディングの内容を踏まえ、ディスカッションのテーマとなっている宿題(例えば、地域コミュニティは持続可能な開発に貢献するか?)に回答する
  3. この宿題を通じて自分なりに仮説を立てる
  4. レクチャーとディスカッションを通し、自分の仮説を検証する
  5. 最終的に自分なりの結論を出す

という形式だ。レクチャーでは教授と学生の双方向性が重視されるものの、あくまで教授は学生の理解を積極的に手助けするという立場である。

実に面白い。何より内容が毎回面白い。

この授業以外の2つの授業は、日本の講義と変わらない一方通行である上、授業の構成が整っておらず、何を伝えたいのかよくわからない奇天烈なものなのだ(少なくとも僕にとっては・・・これはこれで問題だが)。なのでなおさら、一般的に「イギリスの授業は~~」と形容される授業を知られたという意味でも、本当に受講してよかったと思っている。

ということで話はずれたが、最も楽しい授業のエッセイだ。その分気合が入る。色々な先行議論を調べて自分なりに結論をまとめる過程は、苦しいながらも達成感があった。結局、「生物多様性オフセットが持続可能な開発に貢献するためには4つの必要条件を満たす必要がある」という結論に至り、そういう条件を満たすようなケーススタディとして、教授が知らなさそうなマイナーな事例を引っ張りだして議論を補強する、という構成にしたと記憶している。最初、字数制限が「2000語」と聞いた瞬間、(結婚式の余興ムービーさながら)極寒の滝つぼに放り込まれた気分になったが、案外2000語でまとめようと思うと議論をかなり圧縮しなければならず、最後は仕事をしていた頃に戻った感覚で、文章を凝縮する作業をやっていたように思う。

そしてそのエッセイの採点が今日帰ってきたところ、予想していたよりもはるかに良い成績(A)を取ることができたことがわかった。成績を見た瞬間、驚嘆のあまり目から椎茸が生えたかとおもった。とてもAをとれるレベルではないだろうと思っていたからだ。ところどころ文法が破滅しており「英語でおk」のように教授からコメントされた部分もあったが、最後には「なかなか良いエッセイじゃん。いい線いってるから文法のミスには目をつぶってくれるわ」とコメントをしてもらえた。

今日、たった数か月ではあるが、勉強を続けてきてよかったと心から思った。

 

さて、今学期の残りのイベントは期末試験のみだ。これは本当にプレッシャーが酷いが、勉強するしか対策方法はないので、受験生に戻った気分でひたすら過去問にアタックしている。想像するだけで苦しくなるような日々がしばらく続きそうだが、今日を思い出してやる気を出すことにする。ではまた。